オリジナルペットクッション【ハグペット】の特許?特許明細書から効能を分析!

オリジナルペットクッション【ハグペット】の特許?特許明細書から効能を分析!

ArticleNo. 0912-2

 本サイトは特許に関するものです。

 本サイトの管理人は弁理士として仕事をしており、システムエンジニア・中小特許事務所・大手特許事務所・大企業知財部を経験し、みなさまのお役に立てれば光栄です。

 巷(ちまた)に出回っている製品では「特許取得」とか大々的に宣伝していますが、「なんとなく凄いんだろうけど、どこが凄いのか?」ということまで把握している方は少ないんじゃないでしょうか?(かく言う私もそうなんですが…)

 なので、そのような特許製品について、弁理士が特許明細書の観点から、その効果・効能を分かりやすく分析してみたいと思います!

 今回紹介するのは「オリジナルペットクッション【ハグペット】」という製品で、これに関する登録特許は「4528354号」及び「4629150号」の2件です。

 この【ハグペット】は、簡単に説明すると大好きなペットの写真をクッション等に印刷したものですね。



 さあ、いってみましょう!

この記事を参照して得られる効果

①.【ハグペット】の良さを特許の観点から理解できます

②.心が温まります。

③.特許明細書の読み方が分かります。

 オリジナルペットクッション【ハグペット】の説明

 このハグペットは、有限会社サン・オリオンが出している製品で、この会社は、上記したとおりペットの写真を印刷したクッションの販売サービスを手がけています。

【図1】

0912-2_Fig1_HugPet1

 特に、プリント仕上げにはないリアルな毛並みの表現や高級感は、「ジャガード織り」、という特殊な製法に基づいています。ここらへんが特許と関係しそうですね。

 【ハグペット】は、動物好きの方へのプレゼントに人気があり、また、亡くなってしまったペットの寂しさを少しでも癒やしてくれる製品ですね。

【図2】

0912-2_Fig2_HugPet2

※ジャガード織り

 ジャガード織りとは、JFジャガード氏(フランス17521834)の考案した紋織り機で織られた紋織物を意味しています。具体的には、サテン地に織で花模様などを浮き上がらせた重厚感あふれる生地で、全て刺繍(ししゅう)のように織り込まれているものを言います(下記の図3)。

【図3】

0912-2_Fig3_HugPet3

リジナルペットクッション【ハグペット】の特許「4528354」号公報の分析

 さて、本題です。ハグペットの特許「4528354」号公報を分析して、ハグペットのどこが凄いのか調べてみましょう。

 なお、ハグペットの特許にはもう一つ「4629150」号公報があるのですが、こちらはハグペット用の織物を織るのに用いる画像を解析・変換する処理方法に関する特許でして、今回は省略します。

【図4】

0912-2_Fig4_HugPet4

特許公報の読み方

 特許公報は、ものによりますが、数ページから数百ページ程度で構成され、かつ、これを読み慣れていない人には、非常に難解(頻出する専門用語や発明のイメージのし難さ)なものです。

 法律文書としての性格を有していますから、しょうがないのですが、少しでも読み易くしたいですよね。

 今回の特許は、織物の製織方法又は生産方法に関するもので、その効果(凄さ)が分かれば十分ですから、従来どんな技術があったのか(【背景技術】)、従来技術にどんな課題があったのか(【発明が解決しようとする課題】)、従来技術にない新しい効果とは何か(【発明の効果】)、特許文献中の各項目の一部だけ見てみましょう。

(1)【背景技術】

 さて、特許文献の【背景技術】の記載を参照してみましょう。従来の織物の技術とは、どんなものなのでしょうか。

【背景技術】

【0002】

 従来、写真などの画像データを加工処理して、この加工された画像データに基づいて、紋紙を作って織物を織り、この織物に当該画像データに対応した柄・模様・部位・文字を形成するものがある。また、織物の分野では、タオル地(テリークロス)を織る織機も多数存在している。

【0003】

 しかしながら、このようなタオル織物で写真などの画像に対応した柄・模様・部位・文字を形成することは難しい。なぜなら、タオル織物にはパイルと呼ばれる、地織と別の織物表面から立ち上がった、または、膨らんだ糸部分が形成されるため、写真などの画像に対応した柄・模様・部位・文字を形成しても、この写真などの画像に対応した柄・模様・部位・文字がぼやけて不鮮明になってしまうからである。

 段落0002及び0003の説明によれば、種々の織物が存在するけれども、タオル織物で写真などの画像に対応した柄・模様・部位・文字を形成することは難しかった、ということのようですね。

 ここだけ読むだけで、【ハグペット】は、この従来技術の問題を解決したものなのでないか?という推測ができますね。

(2)【発明が解決しようとする課題】及び【発明の効果】

 上記の推測が正しいのか、次に【発明が解決しようとする課題】を参照してみましょう。

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

 本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、タオル織物において、パイルを一面に形成しながら、他面に写真などの画像に対応した柄・模様・部位・文字を形成して、パイルも画像織りも形成することにある。

 はい、やっぱりといいますか、【ハグペット】は、より画像に忠実なタオル織物の製造方法を実現したってことで、ここがこの製品の凄いところですね。

※なお、余談ですが、【背景技術】の欄に、【発明が解決しようとする課題】を記載すること、又は示唆することは推奨されません。【背景技術】の欄に記載されている事項は、従来あった「公知技術」とみなされますから、課題自体も、発明者が見つけたものでなく従来から知られていたとみなされます。そうすると、発明の進歩性(容易想到でないこと)を示すのが困難になります。実務者は、このような記載に注意して下さい。

 課題が判明したので、効果もわかったのと同じなんですが、一応、【発明の効果】も参照してみましょう。

【発明の効果】

【0010】

 これにより、タオル織物の一面にパイル地を織り込み、他面に写真などの画像に対応した柄・模様・部位・文字を織り込むことができる。また、パイルの色と、画像の柄などの色とを別々に自由に独立に選ぶことができ、一方の色が他方の色によって拘束されない。さらに、柄織物の緯糸に絡む経糸によって画像の柄が不用意に変化してしまうことがない。

【0011】

 また、タオル織物用の織機でジャガード織りのような柄織物を織ると、この柄織物は、通常のジャガード織りの織物に比べて立体的に見える。これは、タオル織物用の織機はジャガード織りの織機に比べて、経糸にパイルを形成するため、経糸のテンションが弱く、経糸に一種の緩みが出て、柄織物に立体感が表れるからである。

 ちょっと読み難いですが、結局のところ【ハグペット】は、より画像に忠実なタオル織物の製造方法を実現したってことですね。

 なお、これを解決する手段は、【課題を解決するための手段】という項目に記載されているのですが、詳細な説明は煩雑になるのでメカニズムだけ簡単に説明しますと、色違いの地経糸(じたていと)とパイル経糸をワンセットの糸として、パイル経糸の出現割合(出現長さ)を調整し、これによって、白~灰色~黒の色素を高精細に再現できた(下記の図5)ことにあるようです。

【図5】

0912-2_Fig5_HugPet5_kai

 また、上記の説明に出てきた「パイル」について少し説明します。下記の図6は、パイル地のタオルを示しています。小さなたくさんの輪っかが見えますでしょうか?これがパイルと呼ばれるものです。

【図6】

0912-2_Fig6_HugPet6

まとめ

 さて、まとめです。

 上記したように、【ハグペット】は、より画像に忠実なタオル織物の製造方法を実現したところが、従来の織物と比較して凄いところであり、これが特許技術として認められているんですね。

 画像が鮮明であれば、大好きなペットや動物をより身近に感じることができるということで、素敵な商品ですね。

 ペットに限らず、人物等もクッションにできると思いますし、クッションに限定しなくてもよいでしょうから、商品として事業の幅を広げるのにも向いていそうな技術ですね。

 

 今回はここまでです。

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