米国のファイナルOA(拒絶理由)への対処方法の実務

米国のファイナルOA(拒絶理由)への対処方法の実務

ArticleNo. 0732-1

 本サイトは、これを見た方に特許出願書類の作成等を実務レベルかつ独力で行えることを目的としています。

 今回は、各国実務対応シリーズです。管理人が日々の業務で実際に対応した課題、その解決手段、解決に用いた豆知識をつらつらと記載します。

 実務対応を示すことで、各国での対応に困っている方の一助となればと思います。

 さて、米国のファイナルOA(拒絶理由)への対処方法について紹介します。

この記事を参照して得られる効果

 

①.アメリカのOA(ファイナル)の対応実務を理解できます。
②.アメリカのOA(ファイナル)におけるUS審査官へのインタビューの重要性を理解できます。
③.アメリカのOA(ファイナル)における補正制限について理解できます。
④.アメリカのOA(ファイナル)における6ヶ月の不変期間について理解できます。
⑤.アメリカのOA(ファイナル)におけるアドバイザリ通知制度について理解できます。

※なお、OAは「Office Action」の略で、いわゆる拒絶理由通知です。 

アメリカのOA(ファイナル)

(1)アメリカのOA(ファイナル)の対応実務

 同僚が担当していたアメリカのOAの案件を引き受けて検討しました。OAの内容は非自明性(inventive step)違反というものです。日本で言う進歩性ですね。

 検討開始してよくよく見てみたら「Final(ファイナル)」の文字が…。

 アメリカでは、OAがファイナルとなると、補正制限やら、不変の応答期限やら、アドバイザリ通知に間に合わせるやらで早めの対応が望まれるところ、検討開始時点ですでに発送日から2ヶ月以上の月日が経っており、困ったことに。

 早急に対応するべく、詳細に読み込むことに。アメリカの代理人(US代理人)は、補正無しでの対応をコメントしてくれている一方で、クライアントは明細書の記載に基づく補正案を提案していました。

 上述したように、ファイナルでの補正は制限され、実質的には、サブクレーム(従属請求項)に落とし込む補正か、又はクレームの削除程度しか認められていません(クレームの拡張不可)

 したがって、クライアントの補正案を採用する場合にはRCE(継続審査要求:Request for Continued Examination)等で対応する必要があるわけですね。

 いろいろ考えたんですが、最終的には、①US代理人案及び②クライアントの補正案をUS審査官に示してインタビュー(審査官面談)するように、US代理人にお願いしました。

 USにおけるインタビューは、特許許可をもらうためには、有用な手段です。

 例えば、変なUS審査官にあたってOAを何回も受けてぐるぐるしている…などの場合には、特に有用です(費用削減と迅速権利化)。

(2)アメリカのOA(ファイナル)の対応実務その後

 US代理人とUS審査官のインタビュー結果では、US審査官から、上記の②クライアントの補正案について肯定的な回答を得ることができました。

 その後、この経緯にしたがってRCEを請求してクライアントの補正案を提出し、特許査定となりました。

 このようにUSにおけるインタビューは非常に重要であることを再確認できました。

(3)アメリカのOA(ファイナル)の説明

 原則として、アメリカでのOA(ファイナル)は、2通目以降のOAで通知されます。

 通常のOA(Nonーファイナル)と異なるところは、下記の①~③等です:

①.補正制限がかかる
②.6ヶ月の不変期間
③.アドバイザリ通知制度

①.補正制限

 まずは、上記①について。アメリカでのOA(ファイナル)では、補正制限がかかり、実質的にはサブクレームに落とし込むくらいしか対応できません

 これに違反すると「new issue」と言われて補正が却下されます(結局、補正前のクレームが基準として審査される)。

 出願人が、OA(ファイナル)の時点で明細書等に記載の内容で補正を望む場合には、上述したようにRCE(継続審査要求:Request for Continued Examination)等をするのが現実的です。

 しかしながら、RCEは少なくとも$1300(ただし、企業の規模によって変動(減免)あり)かかり、US代理人費用等を含めるともっと高くなりますから、詳細に検討したうえで対応を決めるのがよいかと思います。

②.6ヶ月の不変期間

 次に、上記②の「6ヶ月の不変期間」についての説明です。この6ヶ月の不変期間は、OA(ファイナル)の通知後6ヶ月以内に特許許可通知が発行されない場合、原則として、出願放棄擬制となる期間を意味しています

 例えば、通常のOA(Nonーファイナル)で意見書の提出なりで応答した後は、応答期限の効力がなくなり、審査官から次のOAが出るまで出願人は何もせずに待っていればいいだけですが、OA(ファイナル)では、これに応答した後も6ヶ月の応答期限の効力が存続し続け、この期限内に特許許可通知が発行されない限り、原則として出願放棄とみなされてしまいます。

 この不変期間の効力を失効させる方法は、RCE、継続出願、審判請求(appeal)、審判前協議(pre-appeal)等の対策を打つか、上述したように、この期間内に特許許可通知を受け取ることです。

③.アドバイザリ通知制度

 上記③のアドバイザリ通知(Advisory Action)について説明します。

 これは、OA(ファイナル)への応答によってもなお特許許可できないときに審査官により通知されるものです。

 上記の②の6ヶ月の不変期間内において出願人は迅速な判断(審査官の特許許可通知を待つのか、それとも審査官の特許許可通知の前にRCE等を行うのか等)を要求されますから、アドバイザリ通知は、出願人の適切な判断を仰ぐという意味でとても重要です。

 具体的には、出願人は、このアドバイザリ通知により、RCE、継続出願、審判請求(appeal)、審判前協議(pre-appeal)等の対策を適切かつ迅速に打つことができます。

 また、OA(ファイナル)の発送日から2ヶ月以内に応答することにより、アドバイザリ通知を早期に受け取ることができますから、OA(ファイナル)への応答は早いのが好ましいです。

 なお、アドバイザリ通知で注意すべきは、アドバイザリ通知が、上記②で述べた「不変期間」(法定期限)に何らの影響を及ぼさない、という点です。

(4)延長について

 米国のOAには、延長制度があります。例えば、OA(ファイナル)は、通常、その発送日から3ヶ月の応答期間が指定されますが、さらに最大3ヶ月の延長が可能です(応答期間を最大6ヶ月とできる)。

 すなわち、上記の不変期間6ヶ月とは、この通常の応答期間3ヶ月+最大延長期間3ヶ月の6ヶ月を意味しています。

 ただし、延長制度の利用には、1ヶ月で$200、2ヶ月で$600、3ヶ月で$1400の費用がかかりますから注意が必要です。

 今回は、ここまでです。

よろしければ!

(1)書いてほしい記事はありますか?

 本記事を参照いただき、ありがとうございました。

  特許等に関して、書いてほしい記事等があれば、遠慮なくメールや下記のコメント入力フォームからご相談下さい。

  時間はかかるかもしれませんが、記事の作成を検討させていただきます。

(2)ご質問・ご相談・ご依頼

 また、特許出願、拒絶理由通知の悩み・ご質問などがあれば、メールや下記のコメント入力フォームからご相談下さい。答えられる範囲でお答えします。

ただし、新規の技術内容等に関するものであって、出願を検討しているものについては、絶対に「コメント入力フォーム」に記入しないで下さい。発明の新規性を喪失してしまうことを防止するためです。

 なお、私の状況により、お返事が遅くなることもありますので、その点ご了承下さい。

ArticleNo. 0732-1

この投稿へのコメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL