商標と商標登録費用が不明!?簡単に分かります!

商標と商標登録費用が不明!?簡単に分かります!

ArticleNo. 0500-1

 本サイトは、これを見た方に特許出願(特許申請)書類の作成等を実務レベルかつ独力で行えることを目的としています。今回は、特許とは別の知的財産、商標及び商標登録費用について説明します。

この記事を参照して得られる効果

 

①.商標について理解できます。
②.商標の出願から登録までにかかる費用が分かります。

 

商標ってなに?

(1)商標法における商標の定義

 以下に、商標法における商標の定義を示します。

 商標法において、商標とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいいます。

①.業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの

②.業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

※「業として」とは、「事業として」の意味であり、一定の目的のもと、反復継続して行う事業を意味しています。

(2)商標法における商標の解説

 上記の定義だけみても分かりにくいですよね。

 簡単に言うと、商標とは、他の人の商品(役務)と自分の商品(役務)とを見分ける識別マークのことを言います。

 なお、役務とはサービスのことで、料理の提供や、小売、マッサージやレンタル業等がこれにあたります。

 上記で識別マークと言いましたが、識別さえできれば「マーク」である必要はなく、音やホログラム、動き、位置なども、商標法の保護対象となります。

 人の五感(視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚)では、いろいろなものを見分けること(識別)が可能です。

 日本の商標法では、人が識別できるものの中でも視覚や聴覚に特化し、例えば、文字や図形、音やホログラム等のみを保護対象としています。

 以下、各商標について具体例を示して説明します。なお、音やホログラム、動き、位置の商標については、特許庁のHPから抜粋して具体例を示します。

①.文字商標

 「文字商標」とは、文字のみからなる商標のことです。

 下記は、文字商標の具体例、マーベル・キャラクターズ・インコーポレーテッドの登録商標「AVENGERS\アベンジャ-ズ」です。

【図1】

0500-1_Fig1_TradeMarkOfCharacter

 余談ですが、この形態は、二段書商標と呼ばれるもので、「アベンジャ-ズ」の表記があることで、「AVENGERS」を「アベンジャ-ズ」としか読ませないメリットがある一方で、後から出願してきた商標、例えば、「アベンガーズ」の登録を阻止できなかったり、また、「アベンジャーズ」のみ使用して「AVENGERS」を使用しなかった場合に、登録商標「AVENGERS\アベンジャ-ズ」の不使用となる可能性があるなどのデメリットがあります。

②.図形商標

 「図形商標」とは、図形のみからなる商標のことです。

 下記は、図形商標の具体例、マーベル・キャラクターズ・インコーポレーテッドの登録商標です。

 図柄は、有名な「アイアンマン」ですね。

【図2】

0500-1_Fig2_TradeMarkOfShape

 余談ですが、この形態は、キャラクター商標に関するものです。

 キャラクターの絵柄やイラスト等は、著作権法でも保護されますが、著作権法による権利行使は一般的には困難です。

 著作権法による権利行使が困難な理由の一つに、著作権法が採用する方式「無方式主義」があります。

 「無方式主義」とは、著作物が完成した瞬間に権利が発生する一方で登録の必要が無い主義を意味し、裁判闘争の際には、誰が最初にこのキャラクターを創作したのかが一つの争点となります。

 この点、キャラクターを商標登録しておくことで、少なくとも商標登録出願日には創作していたことを証明できます(もちろん、著作権のみならず商標権による権利行使も検討します)。

 その他、商標登録には審査が必要であり、審査項目には、他に類似の商標が無いか?等の項目があるため、当該キャラクターのオリジナリティの証明に有用です。

③.色彩のみからなる商標

 「色彩のみからなる商標」とは、単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標(これまでの図形等に色彩が付されたものではない商標)であって、輪郭なく使用できるもののことです。

 例えば、商品の包装紙や広告用の看板等の色彩を付する対象物によって形状を変えて使用する色彩が考えられます。

 下図は、単色及び複数の色彩の組合せの例です。

【図3】

0500-1_Fig3_TradeMarkOfColor

 従来、商標法では、「色彩のみからなる商標」については付随的構成要素に過ぎないものとして登録を認めてこなかったのですが、平成26年の法改正により、登録が認められるようになりました。

④.音商標

 「音商標」とは、音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標のことです。

 例えば、テレビCMに使われるサウンドロゴやパソコンの起動音等が考えられます。

【図4】

0500-1_Fig4_TradeMarkOfMusic

⑤.ホログラム商標

 「ホログラム商標」とは、文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標のことです。

 下図は、見る角度によって異なる文字等が見える例です。

【図5】

0500-1_Fig5_TradeMarkOfHologram

※上図の数字は、見る角度により表示される内容を説明するためのものであり、例えば、左側から見た場合には図1、正面から見た場合には図2、右側から見た場合には図3のように見えることを表します。

⑥.動き商標

 「動き商標」とは、文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標のことです。

 下図は、鳥が羽ばたきながら画面左下から右上に移動する例です。

【図6】

0500-1_Fig6_TradeMarkOfMovement1

 下図は、鳥が羽ばたかずに、ただ画面左下から右上に移動する例です。

【図7】

0500-1_Fig7_TradeMarkOfMovement2

⑦.位置商標

 「位置商標」とは、図形等を商品等に付す位置が特定される商標のことです。

 下図は、「包丁の柄の中央部分の周縁に図形を付した例」及び「ゴルフクラブ用バッグの側面下部に図形を付した例」です。

【図8】

0500-1_Fig8_TradeMarkOfPosition

商標登録には商標と商品・役務の指定が必要

 上記では、商標法に定義される商標がどのようなものかを説明しました。

 次に、指定商品・指定役務について説明します。

 商標登録には商標と商品・役務の指定が必要となり、これらのことを指定商品・指定役務と言います。

 指定商品・指定役務としては、商標の使用を現在しているものか、又は将来的に使用の予定があるものを選択します。

 上記したように、商標権は、商標に化体した業務上の信用(商品の識別やブランド)を保護することを目的とし、この業務上の信用というのは、商標の継続的な使用によって蓄積されるため、指定商品・指定役務としては、使用するのが前提である必要があるんですね。

商標登録するメリット

 上記では、商標法に定義される商標がどのようなものかを説明しました。

 次に、商標登録することのメリットについてお話しします。

 商標登録するメリットとしては、下記の(1)~(4)が代表的なものとして挙げられます。

(1).登録商標を指定商品・指定役務に独占使用できる
(2).第三者の商標の使用を阻止
(3).自社の商標使用確保
(4).信用力の向上

 

(1)登録商標を指定商品・指定役務に独占使用できる

 商標権では、登録商標を指定商品・指定役務に独占使用することができます。

 つまり、商標権では、第三者から商標権侵害で訴えられることなく(著作権等他の法律により制限される可能性はあります)、かつ第三者の商標権侵害を訴えることができます(商25条)。

 このことを専門用語で専用権(商25条)というのですが、実はこれは、他の知的財産権、例えば、特許法等には無い特別な権利です。

 なぜかと言いますと、例えば、特許法では、特許権を有し、その範囲で技術を実施していたとしても、第三者から権利侵害である旨の警告等を受ける可能性があるのです。

 技術は、その改良等により産業の発展に寄与します。したがって、改良前発明と改良後発明がどちらも特許発明の対象となり、その改良前・改良後のものの権利範囲が重複する可能性があるため、第三者から権利侵害を指摘される可能性があるのです。

 これに対して、商標権は、商標に化体した業務上の信用(商品の識別やブランド)を保護することを目的とし、お客様(需要者)が商品の出所混同を生じるなどの問題が生じては困りますから、上記した専用権を設定しています。

(2)第三者の商標の使用を阻止

 第三者が、自社の商標を使用すると下記①~⑤等の問題が生じます。

 しかしながら、商標登録をしておくことで、下記の問題を回避することが可能です。

①.普通名称化・慣用名称化
②.出所混同による需要者等からの苦情
③.フリーライド(ただ乗り)
④.ダイリューション(希釈化)
⑤.ポリューション(汚染)

①.普通名称化・慣用名称化

 第三者が自社の商標を使用した場合には、その商標が使用された商品等のお客様(需要者)が、その商標が一般的なもの(普通名称)と認識してしまう可能性があります。

 また、最初は自社の商標を示すものとしてお客様に識別されていたとしても、第三者が後発的に自社の商標を使用した場合に、経時的に、お客様がその商標が一般的なものと認識してしまう可能性があります(慣用名称化)。

 上記のような普通名称化や慣用名称化が生じると、自社の商標に識別力(商3条1項)が無いものとして、商標登録できなくなる可能性があります。

 なお、商標登録されていたとしても、後発的に普通名称化や慣用名称化が生じると、権利行使が制限されることもあるので要注意です(商26条1項2号~4号)。

②.出所混同による需要者等からの苦情

 第三者が自社の商標を使用した場合には、その第三者の商品等と、自社の商品等の見分けがつかず、お客様(需要者)が誤って他社の商品等を購入することが生じ得ます(出所混同)。

 お客様にとっては、予想していた商品等とは別物になりますから、これにより苦情がくることがあります。

③.フリーライド(ただ乗り)

 自社の商標を継続的に使用することで、商標にブランド力(顧客吸引力)が付きます。

 フリーライド(ただ乗り)とは、第三者が自社の商標を使用することで自社の商標のブランド力に便乗し、第三者の商品等の価値を不正に高めることを意味しています。

 このただ乗りにより、自社の商品の市場シェアが奪われる等の被害が生じる可能性があります。

④.ダイリューション(希釈化)

 自社の商標を継続的に使用することで、商標にブランド力(顧客吸引力)が付きます。

 ダイリューション(希釈化)とは、第三者が自社の商標を使用することで自社の商標のブランド力を希釈化することを意味しています。

 この希釈化により、自社の商標のブランド力が低下し、自社の商品等の価値が低下する等の被害が生じる可能性があります。

⑤.ポリューション(汚染)

 商標の機能の一種に、品質保証機能があります。

 品質保証機能とは、簡単に言うと、ある商標が付された商品等には、以前購入したものと同等の品質があることを示す機能といえます。

 ポリューション(汚染)とは、第三者が自社の商標を使用することで、自社の商標の品質保証機能を毀損することを意味します。

 具体的には、第三者が、自社の商品の劣化版商品に、自社の商標を使用する行為等が挙げられます(偽ブランド物がいい例です)。

(3)自社の商標使用確保

 自社の商標を商標登録しておかなかった場合には、将来的に、自社の商標の使用を断念せざるを得ない状況に追い込まれる可能性があります。

 このような状況としては、自社の商標を第三者に商標登録出願され、これが登録された場合に、第三者から商標権侵害で訴えられることなどが想定されます。

(4)信用力の向上

 商標権を有しているということで、国家から独占的に使用してよい旨のお墨付を得られます。

 商標権は、企業とアライアンスを組んだりするのにこの点で役立ちます。

商標登録にかかる費用(シュミレーター)

 商標登録出願~商標登録にかかる費用を下記のシュミレーターで算出できます。

 下記のシュミレーターは、全ての手続を個人で行った場合のシュミレーションです。

 なお、商標登録出願を紙媒体で行った場合には、別途、電子化費用がかかる可能性があります。

●商標登録出願費用
項目 印紙代(特許庁費用) 代理人費用 数量 価格
商標登録出願 3400 0
区分 8600 0
出願費用小計
●中間応答費用
項目 印紙代(特許庁費用) 代理人費用 数量 価格
手続補正書 0 0
意見書 0 0
中間応答費用小計
●商標登録費用
項目 印紙代(特許庁費用) 代理人費用 数量 価格
登録印紙代(5年)/区分数 16400 0
登録印紙代(10年)/区分数 28200 0
出願から登録までの費用総計(5年の場合)
出願から登録までの費用総計(10年の場合)

(1)商標登録出願費用

 商標登録出願を個人で行う場合には、最低でも12000円の費用がかかります(下記、①+②)。

①.商標登録出願費用(印紙代)=3400円
②.区分数(印紙代)=8600円(1区分あたり)

※区分とは、商品・役務(サービス)の上位概念的なものです。実際に商標登録出願する場合には、区分の中でさらに細分化された「類似群コード」も指定します。

(2)中間応答費用

 商標登録出願を行うと、特許庁の審査官が、商標登録可能か否かの審査を行います。

 この審査で問題ありと判断されると、商標登録出願人(以下、出願人)のもとに拒絶理由通知が発送されます。

 実務的には、商標登録出願全体の約60%程度に拒絶理由が通知されているとのことで、これが来る可能性はかなり高いです。

 この拒絶理由通知に対して、出願人は応答(意見)する機会が与えられます。

 このような手続を、実務的には、中間応答と呼んでいます。

 中間応答処理にかかる費用は、代理人(弁理士)を介さないで行う場合には、ほぼ無料です(書類の電子化費用等が別途で発生する可能性はあります)。

(3)商標登録費用

 審査官から登録査定の通知が来たら、次に登録料(設定登録費用)の納付を行います。

 登録料の納付は、5年分、又は10年分で選択可能です。

 ライフサイクルの短い(短命)商品等については5年、これから末永く展開予定の商品等については10年など、その事業の予定に応じて選択するとよいでしょう。

 5年分の場合には1区分あたり16400円、10年分の場合には1区分あたり28200円がかかります。

 今回はここまでです。

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 本記事を参照いただき、ありがとうございました。

 特許等に関して、書いてほしい記事等があれば、遠慮なくメールや下記のコメント入力フォームからご相談下さい。

 時間はかかるかもしれませんが、記事の作成を検討させていただきます。

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