「新規性」の拒絶理由?!その解説と解消方法を公開その3

「新規性」の拒絶理由?!その解説と解消方法を公開その3

ArticleNo. 0621-3

 本サイトは、これを見た方に特許出願書類の作成等を実務レベルかつ独力で行えるようになることを目的としています。

 本サイトの管理人は弁理士として仕事をしており、システムエンジニア・中小特許事務所・大手特許事務所・大企業知財部を経験し、みなさまのお役に立てれば光栄です。

 今回は、前回記事『新規性』の拒絶理由?!その解説と解消方法を公開その2の続き、拒絶理由の「新規性」…特に、「対比対象」について説明します。

※なお、本サイトに掲載の記事は、産業財産権法、その他の法律、審査基準、学説、及び判例等に基づいて作成されていますが、読者の理解促進及び簡易なステップでの実務遂行を目的として、詳細(枝葉)を省略していることがあります。その点をご承知おきください。

この記事を参照して得られる効果

①.本発明が新規性を有しているか否かの分析方法を理解できます。

前回のおさらい

 私たちが特許出願する場合には、そこに記載されている発明に「新規性」がなくてはいけません。

 「新規性」とは何か?ですが、一言で言いますと「特許出願に係る発明と先行(従来)技術との間に差異がある状態」を意味しています。これらに違いがあれば、新規性があるってことですね。

 特許庁審査官が、特許出願の審査を行い、本発明に対して、新規性が無いと指摘してくるときは、「本発明(の請求項の構成)と先行技術(に記載の構成)との間に差異が無いですよ」ということを指摘しているんですね。

 前々回の記事「『新規性』の拒絶理由?!その解説と解消方法を公開その1」では、「4.新規性の具体的な判断」の方法、すなわち、下記のような対比表を作成することをお話ししました。

【表1】対比表

対象請求項

本願発明の構成

引用文献1に開示の構成

引用文献2に開示の構成

引用文献3に開示の構成

番号

内容

請求項1

基材

【発明を実施するための形態】に記載あり
【実施例】の実施例1等に記載あり

【発明を実施するための形態】に記載あり
【実施例】実施例1等に記載あり

【発明を実施するための形態】に記載あり
【実施例】実施例1等に記載あり

金属粒子A

同上

同上

同上

金属粒子B

記載無し

同上

同上

 

記載無し

記載無し

記載無し

金属粒子C

金属粒子Aの含有量が、金属粒子A及び金属粒子Bの総質量に基づいて、10質量%以上30質量%以下

記載無し

同上

同上

排ガス浄化触媒

【発明を実施するための形態】に記載あり
【実施例】実施例1に記載あり

同上

同上

  今回の記事では、「請求項との対比対象となる引用発明(構成要件)の特定」等についてお話しします。

請求項との対比対象となる引用発明(構成要件)の特定

(1)引用発明について

 審査官に新規性違反の指摘を受けた場合には、その根拠は、原則として引用文献等であることが多いです(特許法第29条第1項第3号)。

 したがいまして、請求項との対比対象となる引用発明は、典型的には、引用文献に記載されています。

 では実際に、引用文献に記載の「引用発明」とは何か?ですが、「引用発明」とは「構成要件」と読み替えて問題ありません。

 「構成要件」とは、読んで字の如く、発明を構成している要素です。

 「構成要件」は、具体的には、部品、パーツ、組成、及び物性等を意味しています。

 具体的には、上記の表1でいうところの「金属粒子A」、「金属粒子B」、「10質量%以上30質量%以下」、及び「排ガス浄化触媒」等が、「構成要件」に該当します。

(2)対比対象となる引用発明はどこにある?

 上記では、引用発明、すなわち、構成要件について説明しました。

 しかしながら、引用文献中には、引用発明に関する記載がちりばめられており、具体的に、どこの記載(どこの引用発明)と対比すればよいかを判断せねばなりません。

 例えば、引用文献中の請求項を対比対象とするのか、明細書の実施形態と対比するのか、又は明細書の、より具体的な実施例(試験例)と対比するのか…判断する必要があります。

 対比対象となる引用発明(構成要件)は、典型的には、下記の2点で確認します。

【重要】引用文献中の対比対象
① 【実施例】の項目に記載されている実際の試験例(※化学系の明細書で記載されていることが多い)
② 【発明を実施するための形態】の項目に記載されている構成要件、又は実施形態の説明

 

・「① 【実施例】の項目に記載されている実際の試験例

 【実施例】の項目に記載されている実際の試験例が請求項の構成を達成している場合には、問答無用で当該請求項に係る発明は新規性を有していないこととなります。

 したがいまして、典型的には、補正等の対策が必要となります。

・「② 【発明を実施するための形態】の項目に記載されている構成要件、又は実施形態の説明」

 【発明を実施するための形態】の項目に、請求項に記載の構成要件等が記載されている場合には、典型的には、請求項に係る発明には新規性がありません。

 しかしながら、請求項に係る発明(以下、「本発明」)の技術的意義(発明者が新規に見出した発明のメカニズム・効果)が、請求項に記載の複数の構成要件の組み合わせにあり、この技術的意義が引用文献に記載されていない場合には、本発明に新規性(別記事で説明しますが、進歩性も)が認められる可能性があります。

 今回はここまでです。 

よろしければ!

(1)書いてほしい記事はありますか?

 本記事を参照いただき、ありがとうございました。

 特許等に関して、書いてほしい記事等があれば、遠慮なくメールや下記のコメント入力フォームからご相談下さい。

 時間はかかるかもしれませんが、記事の作成を検討させていただきます。

(2)ご質問・ご相談・ご依頼

 また、特許出願、拒絶理由通知の悩み・ご質問などがあれば、メールや下記のコメント入力フォームからご相談下さい。答えられる範囲でお答えします。

ただし、新規の技術内容等に関するものであって、出願を検討しているものについては、絶対に「コメント入力フォーム」に記入しないで下さい。発明の新規性を喪失してしまうことを防止するためです。

 なお、私の状況により、お返事が遅くなることもありますので、その点ご了承下さい。

 

ArticleNo. 0621-3

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